2017/03/07 22:23


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Photo courtesy Ryohei Yanagihara | SUNTORY

■アンクルトリスとTIKI(ティキ)カルチャー

サントリーの前身である洋酒の壽屋(ことぶきや)がトリスウイスキーのハワイキャンペーンを展開したのは昭和36年(1961年)、ミッドセンチュリースタイル花盛りし頃、当時の日本政府の貿易為替自由化施行のタイミングで、トリスを飲んで “夢の楽園” ハワイへ行ける、というキャンペーンが大きな話題となりました。

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WLL Ryo.Works ハワイへ行こう! スマホマルチタイプ ケース

トリスでハワイ (Let’s Drink Torys and go to Hawaii TV-CM)

日本でウイスキーが大衆文化として定着し始めたまさに同時期、第2次世界大戦の揺り返しからか、米国ではポリネシア先住民文化とアメリカンカルチャー、そして楽園志向とスペースエイジとが結びつき、TIKIカルチャーとしてカリフォルニアやフロリダといったコースト沿いから、ラム酒をベースにしたカクテル、ジャングル・ジャズ、エキゾティカといったアイランドジャズ、TIKIバー(日本ではトリスバーだナ。アロハアンクル 談)、そして建築・家具、ホテルラウンジのデザインなどが一体となり、ハワイやポリネシア文化に憧憬を抱く白人層を中心に全米へと拡大、次第にシーンとして根づき始めます。

アンクルトリスは、カリフォルニアのTIKIシーンにポリネシアンポップの系譜として受け入れられ、現地にはカルト的なファンが存在しています。ティキアートの代表者として知られるハワイ出身でカリフォルニア・パームスプリングスにギャラリーを持ち、世界中へティキアート&カルチャーを発信するアーティスト SHAG(シャグ)もアンクルトリスの産みの親である柳原良平の大ファンであることを公言しています。SHAGの諸作品、そしてハワイみやげとしてお馴染みのティキ人形、アンクルトリスの顔を正面からジッと見比べてみてください。何か共通点がありませんか?

■なぜ、イラストにラナイ島が無いの?
写真はアンクルトリスが、アロハアンクルとなって登場する「トリスを飲んでHawaiiへ行こう! 」当時の新聞広告。ツアー催行前の広告には実際のツアー内容を掲載、ツアー催行後は実際に当選した旅客がハワイに滞在、日航機(JAL便)で帰国した模様も新聞広告として掲載されました。

当時の新聞広告 (ツアー催行前)

昭和36年(1961年)9月11日発行 毎日新聞より―
世界中のみんなが憧れる夢の島
ハワイへ行ける海外旅行積み立て預金証書が
100名様に当たる抽選券つき
トリススペシャルセール!

ハワイ旅行日程
第1日
夜 東京発 ハワイに向う
  ホノルル着 午後市内観光

第2日
オアフ島観光(真珠湾・ワイキキ・カピオラニ公園等)
ハワイの夜 観光

第3日
自由行動

第4日
朝 遊覧船にてホノルルより
カウアイ島に向う 同島観光
夕方 ホノルルに帰る

第5日
早朝 ホノルル着 飛行機にて
ハワイ島に向う ハワイ国立公園
コナコーヒー園 観光
コナにて宿泊

第6日
コナより飛行機にてマウイ島
に向う 同島観光 午後遊覧船
にてモロカイ島へ向う
モロカイ島に宿泊

第7日
モロカイ島よりホノルルに帰る
午後発 東京へ向う

第8日
東京着

※ 日程は一部変更になることがあります。

上記スケジュールを見れば、一目瞭然。「ハワイへ行こう!」ツアー内容にはもともとラナイ島は含まれていなかったのです。アロハアンクルは、別名パイナップル・アイランドと呼ばれるラナイ島へ行くかわりに、パイナップルを片手にしていたのでは!?

眺めているだけで想像が拡がる柳原良平の世界 -

さァ 「ハワイへ行こう!」

(後編に続く)

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Aloha Uncle, Uncle Torys and Shag

The Air-Conditioned Eden (1950s Tiki Culture / Exotica Documentary)

Don Tiki – Tiki Culture in Hawaii (Featuring Martin Denny)

SHAG/Josh Agle “Jungle Drums”